公開講演会
「(1)探偵に猛毒を——Strong Poison における男性探偵像の解体」
「(2)アメリカは夫婦愛から:Anne Bradstreet,“To My Dear and Loving Husband”再読」
INFORMATION
まず、新進気鋭の20世紀イギリス小説研究者大西寿明氏が、探偵小説の黄金期を牽引した Dorothy L. Sayers の The Lord Peter Wimsey シリーズ第5作 Strong Poison (1930) を男性学の観点から考察し、探偵小説を純粋なクルーパズルから風俗小説へと深化させることを目指したセイヤーズの試みの中心に、探偵ウィムジーの男性性の解体があることを指摘する。次いで、17世紀から21世紀に至るアメリカ詩研究の大家にして自らも優れた詩人である渡辺信二氏が、植民地時代のアメリカ女性詩人アン?ブラドストリートの代表作“To My Dear and Loving Husband”を再読し、夫婦愛の絶唱とされるわずか12行のこの詩に、『聖書』とキリスト教、金銭感覚などに関して、独立後も引き継がれるアメリカ的な特徴が潜んでいたことを論じる。
講師
山梨英和大学副学長?人間文化学部教授、本学名誉教授
渡辺 信二(わたなべ しんじ) 氏
1973年 東京大学文学部英文科卒業。
1977年 東京大学大学院英語英文学専攻修士課程修了、同年12月同博士課程中途退学。
1978年 1月茨城大学人文学部助手。
1979年 同講師。
1981年 東京学芸大学教育学部講師。
1983年 同助教授。
1991年 本学文学部教授。
2013年 フェリス女学院大学教授を経て、2018年山梨英和大学人間文化学部教授?副学長、現在に至る。
この間、2005-2008年本学文学部長、2010-2013年日本エズラ?パウンド協会会長の要職にあった。
2015年 本学名誉教授。
主要研究業績に、『ブラッドストリートとテイラー』(松柏社、1999年)、『アメリカ文学案内』(共編著、朝日出版社、2008年)、『少しだけ「政治」を考えよう!』(共編著、松柏社、2018年)など。また、『遥かなる現在』(国文社、1884)、『愛する妻へ』(思潮社、1989年)、『まりぃのための鎮魂歌』(ふみくら書房、1993年)、Spell of a Bird(Vantage Press, NY、1997年)、『詩集日本の論理 ジャパンの叙情』(シメール出版企画、2010年)など詩集を多数出版。
神戸市外国語大学英米学科准教授
大西 寿明(おおにし としあき) 氏
2007年 本学文学部英米文学科卒業。
2009年 本学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程前期課程修了。
2013年 ロンドン大学クイーンメアリー校 M.A. English Studies 修了(M.A.)。
2016年 本学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程後期課程修了、博士(文学)。
本学文学部文学科英米文学専修助教を経て、2018年4月より神戸市外国語大学英米学科准教授。
主要論文に、“The Psychic Prison of Manliness: The Reflexive Gaze into Male Subjectivity in Decline and Fall”日本英文学会、Studies in English Literature, English Number 56, 2015.; 「“Contra Mundum”をもう一度—Brideshead Revisited におけるアンチ?マスキュリンな語り」日本英文学会、『英文学研究』、92巻、2015.など。
詳細情報
名称
「(1)探偵に猛毒を——Strong Poison における男性探偵像の解体」
「(2)アメリカは夫婦愛から:Anne Bradstreet,“To My Dear and Loving Husband”再読」