発想を実現に結び付け、高分子材料の新たな可能性を開拓する
理学部化学科 大山 秀子 教授
2017/03/16
研究活動と教授陣
OVERVIEW
専門は、「界面」に注目した高分子材料の研究。
高分子材料の高性能化?高機能化を目指して多成分系高分子材料の研究に取り組んでいる。
組み合わせによって 無限の可能性を秘める高分子材料
化学は「物質」について探究する学問分野。人間の生活を支えるモノの素材は、用途によって求められる性質が全く異なる。熱に強い、軽い、衝撃に強い、体内で安全に使用できる、などなど……。
化学科の大山秀子教授の研究室では、高分子を軸とした新しい素材の可能性を探る研究を行っている。金属やセラミックスと並び、プラスチックに代表される高分子はいまや社会に欠かせない材料の一つだ。
「高分子の世界では、ある材料と別の材料を組み合わせることによって、単純に2種の性質を足し算したのとは異なる性質が現れる。それは2つの材料が接する『界面』という領域が非常に大切な役割を果たしていて、そこがこの研究の面白いところですね」
と大山教授は話す。例えば、植物由来の高分子として世界中から注目を集めている「ポリ乳酸」。トウモロコシを原料としており(10粒のトウモロコシ〔5g〕からおよそ2gのポリ乳酸が得られる)、人体との相性もよいので、体内に埋め込むこともできる。しかし一方で靱じん性せいが低い(壊れやすい)ので、強度が必要な用途には使用できない。
「しかし、ポリ乳酸と反応する変性ポリエチレンを少量加えて界面反応を生起させるだけで、石油由来の耐衝撃性樹脂の代表格であるABSよりもはるかに靱性の高い素材ができることを見いだしました。こうなると、ポリ乳酸の使える範囲は大きく広がります」
化学科の大山秀子教授の研究室では、高分子を軸とした新しい素材の可能性を探る研究を行っている。金属やセラミックスと並び、プラスチックに代表される高分子はいまや社会に欠かせない材料の一つだ。
「高分子の世界では、ある材料と別の材料を組み合わせることによって、単純に2種の性質を足し算したのとは異なる性質が現れる。それは2つの材料が接する『界面』という領域が非常に大切な役割を果たしていて、そこがこの研究の面白いところですね」
と大山教授は話す。例えば、植物由来の高分子として世界中から注目を集めている「ポリ乳酸」。トウモロコシを原料としており(10粒のトウモロコシ〔5g〕からおよそ2gのポリ乳酸が得られる)、人体との相性もよいので、体内に埋め込むこともできる。しかし一方で靱じん性せいが低い(壊れやすい)ので、強度が必要な用途には使用できない。
「しかし、ポリ乳酸と反応する変性ポリエチレンを少量加えて界面反応を生起させるだけで、石油由来の耐衝撃性樹脂の代表格であるABSよりもはるかに靱性の高い素材ができることを見いだしました。こうなると、ポリ乳酸の使える範囲は大きく広がります」
基礎的な研究に加え、 産学共同の研究も活発
大山研究室にはこのように、個々の高分子の欠点を克服したり個性をより生かした材料を生み出したりという基礎研究を行うだけでなく、こんな性質を持った素材を作れないかという相談を企業から受けて新たな高分子材料を開発するといった応用研究の両方のアプローチを行っている。
「企業との共同研究は多いですね。学生たちも企業研究者との関わり合いの中でいろいろな経験を積むことができます。ですので、修士課程(博士課程前期課程)に進んで、企業の研究職に就く学生が大半です」
大手企業の研究職に就いた卒業生が、後に「先生と共同研究したい」と研究プロジェクトを持ち込んでくることもあるという。
社会の問題解決と化学への純粋な好奇心が両立する研究室は珍しい。企業にとっても学生にとっても魅力的な研究環境がここにある。
「企業との共同研究は多いですね。学生たちも企業研究者との関わり合いの中でいろいろな経験を積むことができます。ですので、修士課程(博士課程前期課程)に進んで、企業の研究職に就く学生が大半です」
大手企業の研究職に就いた卒業生が、後に「先生と共同研究したい」と研究プロジェクトを持ち込んでくることもあるという。
社会の問題解決と化学への純粋な好奇心が両立する研究室は珍しい。企業にとっても学生にとっても魅力的な研究環境がここにある。
※本記事は季刊「立教」239号(2017年1月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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プロフィール
PROFILE
大山 秀子 教授
物性解析化学グループ
専門は、「界面」に注目した高分子材料の研究。
高分子材料の高性能化?高機能化を目指して多成分系
高分子材料の研究に取り組んでいる。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。